泥火山の表層にある希ガスは元々海底下深部にあったものだった!
発表のポイント
◆種子島海底泥火山の表層堆積物中の希ガスは、海底下数kmから来ている
◆種子島沖海底泥火山の噴出は、非火山的な活動である
◆沖縄の近くでは見つかっていないので、引き続き調査を続けてゆく
発表概要
海底泥火山は、巨大地震に関連して活動を活発化させている可能性も指摘されており、陸上であれば大災害にも発展するおそれもあることから、その噴出メカニズムに関する知見の蓄積がたいへん重要になってきています。
日本周辺では、以前から熊野沖に数多く見つかっており、近年では種子島沖にも新たに海底泥火山が発見されています。
海底泥火山の表層堆積物中の物質の起源深度は、海底泥火山の噴出メカニズムの解明につながる知見であり、これまでにも様々な手法で推定が試みられてきています。
例えば、水の同位体比を用いた研究では、水の起源が粘土鉱物の脱水起源であることから、60?160℃で起きる反応であることを利用して、その温度範囲で生成した水が供給されていることが示されてきました。
この他、メタンの炭素の同位体比からも、メタンの起源が有機物の熱分解起源であることから、60℃以上で起こる有機物の熱分解起源のメタンが供給されていることが示されてきました。
一方、地下水や湖底の間隙水において、過去の気温の復元に、アルゴンやクリプトンの濃度を利用した研究はありましたが、海底におけるこれらの濃度を用いた平衡温度の推定は、これまでにない手法と言えます。
研究内容の詳細
泥??の表層にある希ガスは元々海底下深部にあったものだった! [PDF, 2MB]
論文情報
論文名
Estimation of the depth of origin of fluids using noble gases in the surface sediments of submarine mud volcanoes off Tanegashima Island(種?島沖海底泥??における表層 堆積物中の希ガスを?いた流体の起源深度の推定)
著者
Yuki Mitsutome, Tomohiro Toki*, Takanori Kagoshima, Yuji Sano, Yama Tomonaga, Akira Ijiri
掲載誌
Scientific Reports
DOI
https://www.nature.com/articles/s41598-023-31582-z
お問い合わせ
富??学学術研究部理学系
特命助教 ?児島 渉悟 (かごしま たかのり)
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