蛍光色素を分子レベルで封止する新手法 ～蛍光色素が抱える欠点を一挙に解決～
研究のポイント
- 環状オリゴ糖（シクロデキストリン）※1によって有機蛍光色素※2を分子レベルで封止する新しい手法を確立しました。
- 環状オリゴ糖が防弾ガラスのような役割を果たし、封止された蛍光色素は多様な環境下で高い発光効率と安定性を示すことがわかりました。
- 本研究成果は、工学から医学にいたる幅広い分野で利用される色素材料の新たな可能性を開くことが期待されます。
概要
富山大学医学薬学教育部 博士課程薬学専攻の西沖航平 院生、学術研究部薬学?和漢系 薬化学研究室の大石雄基 助教、千葉順哉 准教授、井上将彦 教授、がん細胞生物学研究室の横山悟 准教授および学術研究部理学系 光化学研究室の岩村宗高 講師らの研究グループは、有機蛍光色素の発光効率、水溶性、安定性を向上させる分子封止法を確立しました。本手法は、多様な色素に適応できるものであり、工学から医学にいたる幅広い分野での応用が期待されます。
本研究成果は、2023年8月26日に材料科学分野で権威のある欧州学術誌「Advanced Optical Materials」にオンライン掲載されました。
用語解説
(※1) 環状オリゴ糖（シクロデキストリン）
グルコースと呼ばれる糖分子が、環状に6～8個連なってできる分子。内側に分子を包接し、その安定性や溶解性を改善できる。食品や医薬品の添加物として広く利用されている。
(※2) 有機蛍光色素
光や電気のエネルギーを吸収し、そのエネルギーを光として放出する有機分子。
研究内容の詳細
蛍光色素を分子レベルで封止する新手法 ～蛍光色素が抱える欠点を一挙に解決～[PDF, 506KB]
論文情報
論文名
A Versatile Synthetic Method for Photophysically and Chemically Stable [5]Rotaxane-Type Fluorescence Dyes of Various Colors by Using a Cooperative Capture Strategy
著者
Yuki Ohishi*, Kouhei, Nishioki, Yuta, Miyaoka, Keita Serizawa, Souma, Sugawara, Koichiro Hayashi, Daichi Inoue, Munetaka Iwamura, Satoru Yokoyama, Junya Chiba, Masahiko Inouye*
掲載誌
Advanced Optical Materials
DOI
https://doi.org/10.1002/adom.202301457
お問い合わせ
富山大学 学術研究部 薬学?和漢学系 助教 大石 雄基
- TEL：076-434-7527(直通)
- Email：
